家計簿を付けてみたがその後はどうすればいいの?
他の家庭ではどうしているの?
このような疑問を持つ人も多いでしょう。
家計の見直しを進める際は、政府の統計データと比べてみましょう。
世帯別(単身世帯、二人以上の世帯)や年齢階層別で集計された食費、住居費、水道光熱費などの消費支出項目の割合を様々な角度からデータが提供されています。生活費の平均額の割合と比べてみると、家計の見直しのポイントを見つける参考になります。
家計調査の統計データを確認してみよう
総務省統計局が実施している家計調査は、全国約九千世帯を対象として家計の収入と支出、貯蓄や負債などを毎月調査されています。家計調査の統計データを基に比較してみると参考になります。ご自身の家族構成や収入状況に照らし合わせて比較対象の条件に近いものを探して、消費支出の部分を確認すると良いでしょう。
ここでは、単身世帯と二人以上の世帯の家計調査の統計データの結果を紹介します。
単身世帯
単身世帯の年齢階級別1ヶ月間の消費支出の平均額(1世帯当たり)を見てみましょう。
単身世帯の1ヶ月の消費支出は平均150,506円となっています。当該データは単身世帯の平均値のため、男女別や収入階層別、勤労者世帯に限定した場合などで金額が異なります。消費支出の金額は、勤め先収入がある勤労者世帯と勤め先収入がない世帯を合わせた平均数値であるため、勤労者世帯に限定した場合と比べると金額が低めになっています。なお、単身世帯のうち勤労者世帯の1ヶ月の消費支出は平均168,965円となっています。
支出の内訳をみると、食料、住居、交通・通信、その他の消費支出の金額が比較的高くなっています。持家率をみると、~34歳では4.0%、35歳~59歳で51.2%、60歳~では83.0%となっています。住居は、家賃地代、設備修繕・維持を内容としています。そのため地域による家賃相場の違いや持家による家賃支払いが生じないことによる影響が含まれているため、ご自身の家計と比較する際は、住居はご自身の状況に合わせて利用してください。
二人以上の世帯
次に、二人以上の世帯の年齢階級別1ヶ月間の消費支出の平均額(1世帯当たり)を見てみましょう。
二人以上世帯の1ヶ月の消費支出は平均277,926円となっています。当該データは二人以上世帯の平均値のため、単身世帯の場合と同様に、収入階層別、世帯人員数、勤労者世帯に限定した場合などで金額が異なります。なお、二人以上世帯のうち勤労者世帯の1ヶ月の消費支出は平均305,811円となっています。
支出の内訳をみると、食料、交通・通信、その他の消費支出の金額が比較的高くなっています。単身世帯とは住居で傾向が違います。持家率をみると、~29歳では34%、30歳~39歳65.7%、40歳~49歳78.9%、50歳~59歳87.0%、60歳~69歳92.3%、70歳~92.8%と単身世帯に比べ持家率が高くなっています。そのため、家賃支払いが生じないご家庭の影響が大きく含まれています。やはり、ご家庭の家計と比較する際は、住居はご自身のご家庭の状況に合わせて利用してください。
消費支出のバランスをチェック
次に各項目の家計バランスはどのようになるのかを見てみます。
統計データの比率チェック
二人以上世帯の1ヶ月の消費支出の平均を例に、各支出項目の配分比率を見てみましょう。
消費支出額の総額を100%とした場合の内訳として、食料が27.5%をしめており、この食料がエンゲル係数に該当します。その他、比率の大きい項目としては、交通・通信の14.4%、その他の消費支出18.8%などがあります。
バランスチェックのステップ
STEP1 ご自身の消費支出額を算定
ご自身の家計と比較するには、消費支出額を算定する必要があります。そのため、ご自身の世帯における手取り収入額(社会保険料、所得税、住民税の控除後)から非消費支出(貯蓄、住宅ローン返済額等)を差し引いて大まかな消費支出額を算定します。
STEP2 比較対象となる各項目の金額算定
STEP1で算定した消費支出額に家計調査データにおける比率を掛けることで各項目の金額を算定します。算定された金額が、ご自身の世帯における各項目の平均的な消費支出額のバランスとなります。
なお、住居が賃貸による場合と持ち家の場合で消費支出のバランスに大きく影響しますので調整する必要があります。
STEP3 家計簿と比較
ご自身の世帯の消費支出の項目ごとの金額とSTEP2で計算した金額との差額を算定し、内容を検証する。各項目の中から、気になる項目が抽出されてくると思います。
家計調査データにおける消費支出のバランスとご自身の世帯の消費支出の金額を比較すると、バランスが取れているのか、また節約できるところはどこか、検討すべき項目について参考にできると思います。
具体的な見直し項目の検討
各項目の中で気になる項目をさらに細かく見てみましょう。家計調査年報(家計収支編)ではさらに次のような細分化された項目までデータが収録されています。
消費支出の食料には、外食も含まれています。例えば、食料のうち、外食の比率が高いので外食回数を削減することで節約をしようとか、光熱費・水道の項目のうち、電気代が高いため、節電を進めようとか、具体的な方法の検討を進める参考になります。
まとめ
今回は家計の支出について見直し項目を見つける視点を取り上げてきました。
記事のポイントは、
・家計の見直し項目の検討
勤労収入が多い場合でも、消費支出のバランスが悪く、支出額が必要以上に多額であれば貯蓄ができません。まずは家計簿を付けることによって家計の状況を可視化し、現状の家計状況を把握することから始めてみましょう。
家計の見直しについて別に記載しています。参考にしてみてください。
出典:「家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)調査結果」(総務省統計局) (https://www.stat.go.jp/data/kakei/2020np/index.html)